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管理責任者から皆さまへ

橋田寿美
私が大学を卒業した2000年は、1990年代に始まった新ゴールドプランに基づく高齢者福祉施策では高齢者を支えられなくなり、高齢者の自立支援と利用者本位をベースに社会保険方式とした「介護保険法」が施行された福祉激動の年でした。
介護保険法は、高齢者本人とその介護者を支える重要な法律で、今も約3年ごとに改正され、完璧とは言えないまでも、高齢者の生活は随分改善されたと感じます。
私は大学院で地域看護学を専攻し、当時、施行されたばかりの介護保険法の下で地域医療の現状や問題点について研究をした後、大学病院で看護師として臨床経験を積みました。同時に、「なぜ?」の想いを捨てきれず研究活動を続け、脳卒中再発予防に関する医師主導型大規模臨床試験の研究員として研鑽を積みました。障害者の存在を感じることは少なかったように思います。
その後、縁あって、訪問看護ステーションで訪問看護師として勤務する機会を得、管理者として運営にも関わりました。途中、新型コロナウイルス感染症の蔓延があり、休日出勤や時間外労働が常習化した激務の中、訪問看護師として地域医療にかかわる中で、様々な問題に直面しました。
地域医療は、赤ちゃんから高齢者まで、全ての年代の方を対象とし、もちろん障害者も対象です。
高齢者の場合、先にも書いた介護保険法の恩恵を受け、様々なサービスに支えられています。
介護保険やケアマネジャーという言葉を知らない方は少ないと思います。

障害者をとりまく現状は?

では、障害者の場合はどうでしょうか?
脱施設化や地域移行をキーワードに入所施設は減少し、障害者も地域で「自分らしく生きる」動きが進んでいます。児童発達支援や放課後等デイサービスは急増し、障害児は小さい時から福祉サービスを利用することができるようになりました。しかし、卒業後の生活は不安定で、障害者は家族に 支えられ、ご家族の介護負担は非常に大きいのが現状です。
たとえ訪問看護で介入しても、その時間は一時的で、一日の大半をご家族が支えています。先天的な障害の場合、お子様の成長発達を喜ぶと同時に、将来への不安は増し、ご家族が介護できなくなった場合など問題は山積みです。
家族の負担を大きくせず、障害者も仲間と共に暮らす喜びを得、さらなる自立を目指す、そんな目標を掲げながら生活できる場所として、このたび、障害者グループホームの開業を決めました。
入居の時期はご本人とご家族で決めて頂くことが出来ますが、もし可能であれば、ご家族がまだ元気で、入居者様本人ができるだけ若いうちに、ご入居を決めて頂ければと考えています。日曜日や年末年始などは外泊してご家族と過ごし、その楽しかった思い出話を持ってグループホームに帰ってきてください。グループホームで共同生活を送ることで身辺自立や家事が可能になったら、一人暮らしや結婚などさらなるステップアップを考えることが出来るかもしれません。ご家族と共に、入居者様の将来を考えたいと思っています。

「おおとり(鴻)」にこめられた思い

グループホーム名の「おおとり」は、壮大さと温かさをあわせ持ち、思いやり深い人物像を描きます。
どんな環境でも視野広く、どんな困難があっても自分の可能性を信じ、仲間と助け合いながらのびのび羽を広げ、共に目標を達成できるように、という願いを込めて決めました。
グループホームおおとりは、入居者様とそのご家族、スタッフといっしょに作り上げていきます。
私達は、入居様を大切にするのはもちろん、働いてくださるスタッフも大切にしたいと考えています。 スタッフ一人一人が、気持ちよく安全に働くことができるよう、スタッフルームにもこだわりました。 スタッフルームは鍵付きで約6畳の畳敷きです。夜間や休憩時間は、仮眠をとったり、足をのばしてくつろいだり、読書や食事等十分に休憩をとって頂くことができます。
看護師として勤務した23年間、臨床、研究、教育、地域医療、スタッフ教育、労働環境など様々な経験キーワードが私の中で乱立していましたが、今やっと、目標が一本化できたと感じています。
地域共生社会に生きる障害者が取り残されることなく、生命(いのち)を守り、住居(せいかつ)を守り、プライバシー(個別性)を守りながら 人(仲間)と生活する場所と機会を、スタッフと共に、支えていきます。
どうぞ末永くよろしくお願い申し上げます。                              管理者 橋田寿美署名

管理責任者の略歴

2000年3月 広島大学医学部保健学科看護学専攻 卒業
2002年3月 広島大学大学院医学系研究科保健学専攻 博士課程前期(保健学修士) 卒業
2002年4月~2014年9月 広島大学医学部付属病院(現 広島大学病院) 勤務
2014年12月~2024年4月 訪問看護ステーションにて訪問看護師・管理者として勤務
2024年5月 医療法人鴻志会障害者グループホーム開設準備室 開設
2024年7月~ 児童発達支援、生活介護、重症心身障害児デイサービスなどで研修
2025年8月~ 就労継続支援B型で、サービス管理責任者のOJT実施

管理者の免許及び資格

看護師国家免許
保健師国家免許
養護教諭第一種免許
養護教諭専修免許
サービス管理責任者基礎研修・広島県相談支援従事者研修  修了
強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践) 修了

趣味:読書(専門書を含めると年間100冊くらいは読みます)、ピアノ
特技:書道
家族:夫と3人の子供との5人暮らし

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